re:insomnia

なんかね癖になっちゃうんだって君は言ってた。
埋めて、綻んで、また埋めて、綻んで。
麻薬とかってこんな感じなのかな?なんて君はおどけて笑ってた。
ねぇ、あなたはとっても暖かくて優しいねとも君は言ってた。
本当はちっとも優しくなんかないのに、僕は僕の為に君に優しくしてるんだ。

なんて事は隠したまま、僕もおどけて笑ってた。
でもね別に平気なの、ほら今のこの苦しみもちゃんと終わるし、終わらないものなんてないからね?なんて君は笑ってた。
それに、変わらないものもないから安心して、あなたが私を好きだってその気持ちもすぐに変わるし終わるからって。

 それに、ほら、あなたの事を好きになる事もないからなんて君は言う。

僕はずっとうなづいているだけだった。

嘘が嫌いで嘘つきな君が欲しいものが分からなかった。

でもそれだけは嘘だって決めつけていた。

決めてしまう事にした。

 

これはきっと僕と君との勝負なんだ、変わらないものがないなら、君が抱く僕への気持ちと僕が抱く君への気持ちとどっちが先に変わるのかの。
それまでずっとそばにいられたならきっと僕の勝ちなんだ。
きっと僕の勝ちなんだ。
きっと。


君はずるいな。
いつもそうやって僕が君を嫌いになれない小さな隙間を残してく。

君を嫌いになれたらどれだけ楽なのかなって考えてしまう。

暖かくてやらわかい白でぼんやりとした日々を探しているのに。

そんな事よりも君がいない日々の方がずっとつらいって事に僕は気付けなかった。

嫌いになろうとなんてしなければ良かった。

嫌いになろうとなんて。

今いるここがそこじゃなくても僕はずるくて可愛い君のその掌でずっと踊っていたかった。
正しくなろうとなんてしないで欲しかった。
間違ったままでもずっとそばにいたかった。


終わらないものなんてないって君は言う。
変わらないものなんてないって君は言う。
 僕の君への気持ちも変わるし終わるなんて君は言う。
ねぇそれなら君のその考え方だって変わるし終わるよ。
ねぇ?そうだろう?

最低だよねって言う君のその全てが愛おしかった。
いつまでも抜けおちない足跡も。
すぐに抜け落ちるその記憶も。
わざと嫌われようとするその癖も。
君がここまで生き延びる為に必要だったのなら僕は何もかも肯定して何もかも許してずっとそばにいたかった。
僕は。
僕は。