嘘が嫌いだって君は言っていた。
君の言葉がいつだって僕の正解になるからそうだね僕もそう思うなんて頷いていた。
可愛くなりたいと君は言っていた。
君は毎朝とても可愛くなる。
それは君の嫌いな嘘なんじゃない?なんて事は勿論言わない。言えない。
可愛くなろうとしてる君はとても可愛いかったし
君が僕の正解だからそれはきっと嘘じゃない別の何かなんだと思うようにしていた。
僕はずっと君に騙されていたかった。
君の吐くそれはとても心地がよかった。
その腕に抱かれて居たかった。
心はずっと痛かった。
嘘が嫌いだと僕は言った。
そう言えば君に好かれる気がしていたから。
そうやって君に好かれようとする度に君の嫌いな人間になる事に僕は気づかないふりをしていた。


嘘が嫌いだと君は言った。
そうだねと僕も言った。
だけど本当は嘘が嫌いな君が毎朝欠かさず綺麗に塗りたくるその嘘が大好きだった。


君の嘘はいつだって綺麗だった。
僕の嘘はいつだって汚かった。